ツヅキ シユンスケ   Tsudzuki Shiyunsuke
  都築 俊介
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 覚醒下手術におけるnegative motor areaの同定と積極的摘出症例の検討
会議名 日本脳神経外科学会第72回学術総会
学会区分 国際学会及び海外の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎都築俊介, 村垣善浩, 丸山隆志, 田村学, 新田雅之, 岡田芳和
発表年月日 2013/10/13
開催地
(都市, 国名)
横浜市
学会抄録 日本脳神経外科学会第72回学術総会 プログラム・抄録集会
概要 3E-SY25-04 シンポジウム:言語野のマッピング (機能の回復と温存を目指して)
<背景>
グリオーマの覚醒下手術においては、腫瘍の積極的摘出と共に機能の可能な限りの温存が求め
られる。特に言語野周辺における皮質マッピングでは、前頭葉言語野(Broca野)の同定とと
もに、刺激時に協同運動障害が発生する陰性運動野(negative motor area:NMA) の存在が
認められている。しかし、NMAの局在や本質的機能に関する報告は少なく、摘出に関しては3編
の報告があるのみでその可否は議論がある。これまで我々はNMAと前頭葉言語野の鑑別を積極
的に行なってきたが、2008年より一定の条件下で積極的に摘出する方針をとっており、今回結
果を報告する。
<対象>
当科で1999年からの覚醒下手術289例中、2008年1月からの4年間に行った84例のうち、言語野
近傍は47例であった。50Hz、0.2msec、双極のマッピング条件で、陽性運動野、陰性運動野、
前頭葉言語野(Broca野)を鑑別した。言語野とNMAを同定できた症例は19例、問題となる陰性
運動野が腫瘍と共存した症例の中で、摘出基準とした1.腫瘍が基本同一皮質内に限局、2.言語
野を独立して腫瘍外に同定、を満たした4例を対象とした。
<結果>
4症例は平均35歳、組織はoligodendroglioma 2例、oligoastrocytoma 1例、glioblastoma
1例、最大径は平均35.0mmであった。腫瘍は全例中心前回を主座とし、同定されたNMA(刺激閾
値4mA)はprecentral gyrusの下端(シルビウス裂端)に存在した。摘出途中からdysarthria
やscattering speechが出現したが、明らかな失語は認めなかった。3例は亜全摘以上、1例は
部分摘出であった。6-12ヶ月の経過で軽度dysarthriaは残存したが、仕事や日常生活を営める
程度に改善した。
<結語>
一般に言語野マッピングではspeech arrestを判断基準とした場合、NMAと言語野を鑑別できな
い。今回我々は一定の基準を満たしたNMAと共存する神経膠腫を、大きな欠損症状なく摘出し
た。精確なマッピングによってNMAを鑑別すれば、偽性言語野と共存する神経膠腫の摘出の可
能性を高める。