ドウモト サトル
Doumoto Satoru
道本 智 所属 医学部 医学科(附属足立医療センター) 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 局所麻酔下動脈穿刺による胸部ステントグラフト内挿術の有用性と安全性と検討 |
会議名 | 第47回日本血管外科学会学術総会 |
主催者 | 日本血管外科学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | ポスター掲示 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎道本智, 東隆, 横井良彦, 磯村彰吾, 服部薫, 澤真太郎, 池原大烈, 阿瀬孝治, 新浪博士 |
発表年月日 | 2019/05/22 |
開催地 (都市, 国名) |
愛知県名古屋市 |
学会抄録 | 日本血管外科学会雑誌 28(Supplement),58 2019 |
概要 | 【背景】 2018 年 1 月より、従来の胸部ステントグラフトより2 - 4Fr ロープロファイルの 16 - 18Fr Zenith Alpha (COOK)が使用可能となった。当科では症例に応じて、同ステントグラフトを使用した局所麻酔下動脈穿刺による胸部ステントグラフト内挿術 (TEVAR) を導入しており、その早期成績を検討した。
【対象と方法】 2018 年 1 月から 8 月まで当科で施行した TEVAR39 症例のうち、Najuta や開窓型ステントなど分枝再建が必要な症例や解剖学的に難渋しそうな症例を除く 16 例を対象とした。平均年齢は 73.7 ± 11.8 歳 (男:女;5:1)、体表面積は 1.56 ± 0.24m2 であった。緊急、準緊急手術が 7 例で疾患は下行大動脈破裂食道穿破が 1 例、有症状の亜急性 B 型解離 1 例、全弓部置換 + オープンステント術後の吻合部仮性瘤とオープンステントによるものと考えられる食道瘻 1 例、全弓部置換 + オープンステント術後の残存下行大動脈瘤の切迫破裂 2 例、全弓部置換 + オープンステント術後の溶血 1 例、既往に重症筋無力症がある全身麻酔困難症例で重症 DIC を合併した慢性 B 型解離 1 例であった。手術はハイブリッド手術室でキシロカイン局所麻酔下に施行、全例止血デバイス (パークローズ 1 本) を使用し、全身疼痛管理としてはペンタゾシン (ペンタジン)+ ヒドロキシジン (アタラックス P) を静注、必要に応じてデクスメデトミジン(プレセデックス) 持続静注した。 【結果】手術時間は 51.8 ± 22.4分、出血量は 93 ± 53ml、造影剤使用量は 49 ± 25ml、透視時間は 12.6 ± 7.5 分、使用したステント径は 30 - 38mm で全例留置に成功し合併症は認めなかった。術中の過度な血圧低下 (収縮期 90mmHg 以下や入室時より 30mmHg 以上の低下) は 1 例も認めず、止血も容易であった。 【考案】緊急手術症例、全身麻酔困難症例に対しても低侵襲で安全に施行することが可能で、成績も良好であった。TEVAR の合併症としては脊髄虚血が最も危惧されるが、局所麻酔であれば術中過度な血圧低下も生じず、ステントグラフト留置直後に下肢の動きにて脊髄虚血を確認できるので、対麻痺のリスクも軽減できる可能性がある。 【結語】ステントグラフトのロープロファイル化に伴い、TEVAR を局所麻酔下動脈穿刺で施行することが可能となり、緊急手術症例、全身麻酔困難症例に対しても低侵襲で安全な治療を行うことが出来た。症例数を増やして更に評価する必要があるが、今後適応症例が拡大していくことが考えられる。 |