サイトウ サトシ   Saitou Satoshi
  齋藤 聡
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル TAVI術後遠隔期の構造的人工弁機能不全における外科的大動脈弁置換術の経験
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎磯村彰吾, 菊地千鶴男, 道本智, 飯塚慶, 中前亨介, 齋藤博之, 駒ヶ嶺正英, 森田耕三, 池田昌弘, 久米悠太, 市原有起, 藤田薫, 東隆, 小林慶, 阿瀬孝治, 池原大烈, 齋藤聡, 西中知博, 新浪博
発表年月日 2019/02/12
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *ビデオ08 弁膜症-2
【序文】大動脈弁狭窄症(AS)は高齢化に伴い増加しており、高リスク患者の治療法として経カテーテル大動脈弁植込術(TAVI)は広く普及してきている。TAVI弁の構造的劣化に関する報告は散見されるが、遠隔期に構造的劣化が原因でTAVI弁を外科的に摘出した報告は極めて稀である。【症例】76歳男性。61歳時にCABG(LITA-LAD, RA-PL, Ao-SVG-RCA)、70歳時にTAVI(CoreValve 29mm)を施行。TAVI後6年目に動悸、息切れを自覚し心臓超音波検査で無冠尖(NCC)位にあたる弁尖からの重度大動脈弁逆流症を認め加療目的に紹介。【手術】手術は大腿動脈を確保し胸骨再正中切開、上行大動脈送血、上下大静脈脱血、右上肺静脈ベントで体外循環を確立した。逆行性冠還流で心筋保護を行い心停止とした。Ao-SVG吻合部の真下(ステントフレームの上端にあたる部位)で大動脈を横切開し大動脈弁へアプローチするとCore valveのステント部には新性内膜が形成され大動脈内膜と一体化していた。TAVI弁には肉眼的にはパンヌス形成や疣贅形成などは認めなかったがNCC位のTAVI弁葉が解放位で固定され閉鎖不全を来していた。TAVI弁と大動脈との癒着は強く冷水をかけてもステントフレームの形態は変化せず、ニッパーでフレーム部を切断しながらねじる様に除去した。自己大動脈弁は難渋することなく切除可能でありMosaic 21mmをsupraannular postionに縫着した。一部内膜欠損となった大動脈基部であったが大動脈壁は保たれていたため基部置換は行わず手術を終えた。体外循環離脱時には完全房室ブロックであった。【術後】病理ではTAVI弁、新性内膜とも繊維結合組織からなり、感染や血栓形成は認め無かった。完全房室ブロックは改善せずペースメーカ植込みを実施し術後13日に軽快退院した。【考察】core valveは主にSTJ、Annulus、LVOTで自己組織に接し留置後遠隔期にはステント部に内膜新性を認めた。ACバイパス後のためステントフレーム上端で大動脈切開を行なった。CoreValveの除去時は大動脈切開線や大動脈基部、刺激伝導系などの周囲組織への影響を考慮した手術戦略が必要と考えられた。