イケハラ マサアキ   Ikehara Masaaki
  池原 大烈
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   助手
言語種別 日本語
発表タイトル ロス手術後の新大動脈弁逆流に関する検討
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎中山祐樹, 新川武史, 松村剛毅, 寶亀亮悟, 小林慶, 澤真太郎, 日野阿斗務, 中前亨介, 池原大烈, 阿瀬孝治, 新浪博士
発表年月日 2019/02/11
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *シンポジウム04
小児及び成長期における弁膜症に対する手術

【目的】 ロス手術後遠隔期に新大動脈弁閉鎖不全や大動脈基部の拡大が報告されている。【方法】 1993年11月から2012年2月までに当院でロス手術を行った連続73例 (男性 50例, 女性 23例)を対象とし、術後生存と術後遠隔期における新大動脈弁逆流および大動脈基部拡大の発生についての後方視的研究を行った。【結果】 対象のロス手術時の年齢(中央値)は12.1歳 (0.4-39.1歳)。原疾患の内訳は大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症32例, 大動脈弁閉鎖不全症24例, 大動脈弁狭窄症15例, 活動期感染性心内膜炎 3例 (人工弁感染性心内膜炎1例), 人工弁機能不全 1例。40例で既往手術歴があり、内訳はカテーテル的大動脈弁裂開術 20例, 大動脈弓部修復手術10例, 直視下大動脈弁交連部切開術 8例, 大動脈弁置換術 2例, 大動脈弁形成術 2例, 大動脈弁下狭窄解除術 2例。42例に大動脈二尖弁を認めた。16例はロス/今野手術を行い、4例で大動脈弁下狭窄解除術を同時に施行。人工心肺時間は214分 (143-346分)、大動脈遮断時間は152分 (97-472分)。 ロス手術後早期死亡は1例(低心拍出量症候群)。 術後経過観察期間は12.5年 (0.8-24.7年)でロス手術後15年の生存率は98.6%。成人に達した女性 21例中2例が妊娠・出産を経験した。追跡可能な66例中、25例で中等度以上の新大動脈弁逆流(13例)、45mm以上の大動脈基部拡大(6例)、または両方(6例)を認め、これらの回避率はロス手術後15年で54.2%だった。この25例中16例に機械弁を用いた大動脈弁置換術を施行した(うち3例は大動脈基部置換術も実施)。ロス手術から新大動脈弁手術までの期間は7.9年(0.2-18.9年)。新大動脈弁手術時の年齢は18.0歳 (8.9-41.5歳)。使用した機械弁サイズの中央値は24mm (16-27mm)。新大動脈弁置換術後、6.7年 (0.1-15.8年)の経過観察で、現在まで全例生存している。 ロス手術後の新大動脈弁逆流又は大動脈基部拡大に対する危険因子の検討では、男性が多い傾向(p=0.07)にあったが、ロス手術時の年齢, ロス術前のインターベンション, 大動脈二尖弁, 同時施行した今野手術や弁下狭窄解除術については有意差は認めなかった。【結語】 ロス手術の早期成績は良好であった。しかし、時間経過と共に新大動脈弁逆流や大動脈基部拡大の発生を認め、継続的な加療が必要と考えられた。ロス手術後の人工弁置換術は安全に施行でき、手術成績も良好と思われた。