ハギワラ ノブヒサ   HAGIWARA Nobuhisa
  萩原 誠久
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
Language Japanese
Title リードレスペースメーカ植え込みにおける当院での合併症低減対策
Conference 第66回日本心臓病学会学術集会
Promoters 日本心臓病学会
Conference Type Nationwide Conferences
Presentation Type Speech
Lecture Type Panelist at Symposium/Workshop (Appointed)
Publisher and common publisher◎柳下大悟, 庄田守男, 江島浩一郎, 萩原誠久
Date 2018/09/07
Venue
(city and name of the country)
大阪市
Summary *シンポジウム3 / リードレスペースメーカーをどう活かすか? リスク/ベネフィットを考える
背景:リード関連・ポケット関連の合併症がないリードレスペースメーカ(LP)の利点は大きい。しかし、LP植え込みシステムは非常に大きく心穿孔や心タンポナーデ、心囊液貯留の合併症が報告されている。特にLPの恩恵が大きい高齢者では重篤な事態を招く可能性もあり注意を要する。
方法:2017年9月から2018年6月までに当院で21症例(平均年齢83歳、男性9症例)にLP植え込みを行った。全症例で合併症の低減を目的に以下の処置を遵守した。
①プレセデックス及びフェンタニル投与による鎮静・鎮痛 ②心窩部・前胸部の予防的消毒とドレーピング ③大腿静脈・下大静脈造影による走行の確認 ④大腿動脈圧ラインの確保 ⑤一時ペーシングリードの留置 ⑥心尖部造影による右室形態の把握 ⑦右室中隔面への良好なコンタクトと押し付け
結果:心穿孔リスク因子数は平均2.6項目認められ、85歳以上が57%、女性57%、徐脈に起因した心不全が52%で認められた。シースin/outでの手技時間は平均25.8分、平均展開回数は1.5回であった。植え込み時のペーシング閾値は0.65±0.3V、R波高値は9.1±3.4mV、抵抗値は702±156Ωであった。植え込み手技に伴う合併症は認められず、心穿孔・心囊液貯留はなかった。植え込み後慢性期の合併症として、高閾値症例を1症例経験した。術直後の閾値は1.0V/0.24msであったが、術翌日の座位でのみ閾値上昇が確認され、電極の接触不足と考えられた。6ヶ月後、いずれの体位でも2.13V/0.4msと高閾値であった。ペーシング率は0.2%であり、出力を上げて対応している。
結語:LP植え込みには電極の十分な接触・固定が重要であり、中隔面の把握とシステムの十分な押し付けが必要である。手技に集中するための準備を怠らず、静脈走行や右室形態の把握に努めることで植え込み手技に伴う重篤な合併症は回避できる。