ムラガキ ヨシヒロ
Muragaki Yoshihiro
村垣 善浩 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 客員教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | IDH 変異を有する星細胞腫系腫瘍にみられる脱メチル化の意義 |
会議名 | 日本脳神経外科学会第77回学術総会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎野村昌志, 武笠晃丈, 齊藤邦昭, 田中将太, 高柳俊作, 花大洵, 根城尭英, 高橋慧, 中村大志, 成田善孝, 村垣善浩, 永根基雄, 植木敬介, 西川亮, 油谷浩幸, 齊藤延人 |
発表年月日 | 2018/10/11 |
開催地 (都市, 国名) |
仙台市 |
学会抄録 | 日本脳神経外科学会第77回学術総会 プログラム・抄録集 26 |
概要 | 一般口演 56
グリオーマ:病態 【背景】低悪性度神経膠腫の発生には IDH 遺伝子の変異が強く関与しているとされている。IDH 変異を有する腫瘍は、DNA 脱メチル化酵素の働きが阻害されており、CIMP と呼ばれるゲノム全体の顕著な高メチル化を示す。一方で低悪性度神経膠腫のうち、星細胞腫系腫瘍においては、悪性化に伴い特徴的な DNA メチル化の減少(脱メチル化)がみられることが近年の研究により明らかとなったが、その意義に関して十分には解明されていない。我々はこれまで、低悪性度神経膠腫における悪性化機序の解明を目指し、複数施設から検体提供を受け、次世代シークエンサーを用いたマルチオミクス解析研究を行ってきた。今回、特に星細胞腫系腫瘍の脱メチル化に焦点をあてた解析により得られた結果を報告する。【方法】IDH 変異を有する星細胞腫系腫瘍の初発時及び再発時の腫瘍検体 24 ペアを含む、125 腫瘍検体を研究に使用した。DNAメチル化アレイ(122 検体)、全エクソームシークエンス(38 検体)、RNA シークエンス(31 検体)によりデータを取得し解析を行った。【結果】我々のデータセットにおいても、低悪性度の星細胞腫から膠芽腫へ再発、悪性化を来した症例中の一部の再発検体で、特徴的な脱メチル化が確認された。脱メチル化がみられた検体では細胞増殖の活性化に関わる遺伝子変異、染色体コピー数変化、融合遺伝子、遺伝子発現変化が多く見られたが、脱メチル化自体が発現に直接影響を及ぼしたと考えられる遺伝子は極めて少なかった。脱メチル化領域は細胞分裂によりメチル基の喪失をきたしやすい遺伝子領域に多く局在していた。【考察】星細胞腫系腫瘍に特徴的にみられる脱メチル化の大部分は、悪性化の引き金として作用しているというより、悪性化に伴い 2 次的に起きている可能性が示唆された。一方で、一部ではあるが、脱メチル化が腫瘍増殖の促進に寄与したと考えられる遺伝子も同定され、これらは今後の治療標的となりうる可能性がある。 |