フルタニ ヨシユキ   Furutani Yoshiyuki
  古谷 喜幸
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 小児期発症肺動脈性肺高血圧症におけるX遺伝子変異の役割
会議名 第54回日本小児循環器学会総会・学術集会
主催者 日本小児循環器学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎永井(千田)礼子, 新谷正樹, 古谷喜幸, 中山智孝, 新居正樹, 稲井慶, 中西敏雄
発表年月日 2018/07/06
開催地
(都市, 国名)
横浜市
概要 *一般口演22
会長賞選別講演

【目的】肺動脈性肺高血圧症( pulmonary arterial hypertension : PAH)において、これまでに複数の PAHの疾患原因遺伝子が同定されているが、 PAHの半数以上では原因遺伝子がいまだ確認されていない。本研究ではエクソーム解析を用いて PAHの新規疾患遺伝子を同定し、その変異が PAHの発症にもたらす影響をあきらかにし、PAHの新たな治療法の創出への寄与を目指す。【方法】 PAH患者が複数名存在する18家系において、遺伝学的検査を施行した。このうち、既知の原因遺伝子変異が同定されなかった、小児期発症 PAH患者を2名含む1家系においてエクソーム解析を実施したところ、 X遺伝子変異(p.R554L)を検出した。 siRNAを利用してこの X遺伝子をノックダウンしたところ、ヒト肺動脈平滑筋細胞(human pulmonary arterial smooth muscle cells :hPASMCs)の増殖能が低下すること、 hPASMCsの核内 p53および p21の発現量が増加し、 p53リン酸化が亢進することがあきらかになった。次に、 p.R554L-X変異遺伝子コンストラクトを hPASMCsに導入したところ、野生型 X遺伝子と比較して増殖能を亢進させ、核内 p53および p21の発現量を減少させ、 p53リン酸化を減弱させることがあきらかになり、機能獲得型変異であることが示された。さらに、 p.R554L-X変異遺伝子はhPASMCsにおいて、アポトーシス細胞を有意に減少させることがあきらかになった。また、抗 X抗体を用いて免疫沈降を行ったところ、 Xタンパクは野生型、 p.R554L変異型共に p53と結合しうることが示された。【考察】X遺伝子変異によって p53伝達経路の活性低下が惹起され、これにより hPASMCsが異常増殖し、その結果肺動脈肥厚が生じて PAHが発症する可能性が示された。