ムラガキ ヨシヒロ   Muragaki Yoshihiro
  村垣 善浩
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
言語種別 日本語
発表タイトル 患者QOL維持向上を目指した転移性脳腫瘍治療戦略:
Radiosurgery後遅発性放射線障害対策のための治療計画
会議名 第67回日本脳神経外科学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎林基弘, 田村徳子, 中谷幸太郎, 落合卓, 永井真理子, 井澤正博, 村垣善浩, 丸山隆志, 堀智勝
発表年月日 2008/10/08
開催地
(都市, 国名)
岩手県
学会抄録 日本脳神経外科学会総会CD-ROM抄録集 3A-S13-05 2008
概要 【目的】転移性脳腫瘍に対し、Stereotactic Radiosurgery(SRS)は、効果と安全面から必要欠
くべからざる治療となっている。しかし、手術・全脳照射・低分割照射(SRT)との治療成績
に関する比較検討が必要で、一部ではSRS治療の乱用も懸念され始めている。今回、我々は転
移性脳腫瘍の中でも最も多い合併症、かつ患者QOLを十分に損い得る“遅発性放射線障害”に
対し、その対処策を意識した独自の治療計画のもと治療を行ってきた。
【方法】2003-2004年に行われた転移性脳腫瘍542症例、1702病変を対象とした。全身予後スコ
アRPA (Recursive Partitioning Analysis) class Iは6.3%、class IIは70.5%、そして class
IIIは23.2%であった。全例モデルC-APS(ロボットガンマナイフ)を使用し、腫瘍全体への照
射野(50%線量域)のみならず、治療コンセプトとして“腫瘍細胞へは高線量、かつ周囲正常脳
へは極めてゼロに近い急峻な線量計画”とすべく、それらを構成する各アイソセンター(球状
照射野)の置き方を十分に意識した。とくに、巨大嚢胞性腫瘍に対しては、腫瘍皮膜に沿いド
ーナツ状に各アイソセンターを配し腫瘍全体をカバーした。
【結果】542症例における1年以内の局所腫瘍制御率は97.2%(527/542)。そして術後遅発性放射
線障害発症率は8.9%(48/542)であり、2002年までの15.5%と比較すると有意に改善していたこ
とがわかった。とくに、巨大嚢胞性腫瘍10症例のうち9症例で劇的な縮小を認め、一切の放射
線障害を認めなかった。
【結論】現在良性腫瘍ガンマナイフ治療ではGradient Indexにて評価される極めて急峻な線量
勾配を腫瘍周囲で持たせる治療計画が推奨されている。患者QOLを考慮すれば、やはり転移性
脳腫瘍治療においてもこの概念は重要であることが証明された。