タムラ マナブ   Tamura Manabu
  田村 学
   所属   研究施設 研究施設
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 前頭葉脳腫瘍摘出後にみられた系列行為課題遂行の質的変化の検討
会議名 第41回日本神経心理学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎仁木千晴, 熊田,孝恒熊田,孝恒, 丸山隆志, 田村学, 村垣善浩
発表年月日 2017/10/12
開催地
(都市, 国名)
東京都
学会抄録 第41回日本神経心理学会学術集会 プログラム予稿集 106
概要 無視・注意障害1C-03
【目的】右前頭葉脳腫瘍摘出患者に手紙を書くなどの系列行為課題施行時に不必要な物品(ディストラクター)を呈示するとディストラクターを用いて課題を行おうとする「Action disinhibition syndrome」が報告されている(Niki et al., 2009)。しかし、遂行の質的変化(例:課題所要時間)が前頭葉損傷後生じるのは分かっていない。本研究は、脳腫瘍患者の術前後に系列行為課題を行い、行為エラーとともに課題遂行の質の変化を検討した。
【方法】
【対象】初発の前頭葉脳腫瘍患者10名(右9名、左1名、平均年齢40.1歳)。術後の神経学的症状ならびに言語障害は見られなかった。
課題:ディストラクター無の系列行為課題2課題(「ロウソクに火」、「手紙」)とディストラクター有の系列行為3課題(「飲み物」、「プレゼント」、「絵」)の計5課題が施行された。ディストラクター有の系列課題では、2つの系列行為に必要な物品が呈示された(例:「コーヒー物品」と「緑茶物品」)。課題の施行は状況が設定され、その状況に合った行為を行うように教示がなされた(例:「ロウソクに火」では「部屋が暗いので明るくしたい。作業せよ」)。エラーの数(必要な行為ステップを抜かす「削除エラー」、ディストラクター物品を用いるディストラクターエラーなど)、遂行の質に関する部分(文面を書く所要時間等)が分析された。
【結果】削除エラーの合計個数は術前8個、術後10個で術前後に有意差はなかった。一方、ディストラクターエラーは術前合計7個、術後22個であり術前後で有意傾向であった(p=.07)。また、「手紙」課題では文章を書く所要時間が術前は平均27秒で術後平均57秒と長くなる傾向がみられた(p=.059)。
【考察】系列課題の遂行において、ディストラクターエラーおよび遂行の質の変化が前頭葉損傷後に観察された。行為の文脈や状況にあわせた遂行の機能が障害された可能性が示唆される。