アシハラ キヨウミ   ASHIHARA Kiyoumi
  芦原 京美
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 僧帽弁形成術後の合併症
会議名 日本超音波医学会第90回学術集会
主催者 日本超音波医学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎芦原京美
発表年月日 2017/05/26
開催地
(都市, 国名)
宇都宮市
概要 僧帽弁逆流の原因はさまざまですが,最も多いのが弁逸脱による弁逆流で手術となる症例の 70~80%を占めます.その中でも後尖逸脱は 50~60%を占めており標準的な術式で弁形成術が可能であり,ガイドラインではこれらの病変に形成術を試みることなく弁置換を行う事は Harm であり,無症状であっても形成術が可能な病変には成績の良い施設での早期の手術施行が推奨されています.形成を行うにおいては,基礎にある弁疾患,弁の変化の評価と把握が非常に重要であり,僧帽弁前尖逸脱,Barlow 氏病を含む両弁尖逸脱,感染性心内膜炎,リウマチ性僧帽弁逆流,先天性僧帽弁逆流,そして弁形成術後の逆流再発に対する弁形成術は経験や形成手技の熟練度が必要となります.しかしいかに熟練の外科医の手術であっても,術後の僧帽弁逆流を来すことはあります.僧帽弁逆流に対する形成術後の弁逆流再発は外科医の熟練度,形成術式の選択などによって異なりますが,手術後 1~2 年での再発は形成術式の破綻によることが多く,手術後 8~10 年以降は病気の進行によることが多いとされています.一方術後軽度の逆流であっても,逆流 jet が偏位し人工弁輪にあたることで出現する溶血で再手術を余儀なくされる症例もあります.弁形成術後には軽度の狭窄は必須ですが,昨今僧帽弁形成術後の左室流入血流の増加や圧較差が遠隔期の運動耐容能の低下に関係するとの報告もあります.現在の日本における形成術の頻度が 60%前後であることは,熟練を要する形成術症例が人工弁置換術になっていることを物語っていますが,形成術ですますことができれば抗凝固療法は不要であり術後の予後,QOL からは手術時期のタイミングを失することなく可能な限り形成術が勧められるのが今のトレンドです.しかし症状が無くても形成術が可能な症例への早期手術が推奨される今こそ,形成術の合併症を認識しながら術後評価を行い,必要があれば再手術の時期を失しないことが超音波に携わる者として求められています.合併症の症例を提示し,その機序や危険因子について文献的考察を加えながら考えたい.