フルタ アキヒサ
Furuta Akihisa
古田 晃久 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 助教 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 完全大血管転位症に対する心房スイッチ手術(Mustard/Senning)の遠隔成績 |
会議名 | 第47回日本心臓血管外科学会学術総会 |
主催者 | 日本心臓血管外科学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎坂本貴彦, 長嶋光樹, 松村剛毅, 梅津健太郎, 宮入聡嗣, 西森俊秀, 古田晃久, 五十嵐仁, 山崎健二 |
発表年月日 | 2017/03/01 |
開催地 (都市, 国名) |
東京都 |
概要 | *一般口演33/先天性⑤
【背景】心房スイッチ手術(Mustard/Senning)は完全大血管転位症(d-TGA)に対する根治手術として1950年代後半に導入され、動脈スイッチ手術が第一選択となる1980年代後半まで広く施行されてきた。今回、当院における50年に及ぶ遠隔成績を検討した。【対象と方法】1966年から2003年までに当院で施行された心房スイッチ手術157例(Mustard手術: 75例、Senning手術: 82例)。男性117例、女性40例。手術時年齢は7日から22歳(中央値: 1.2歳)。手術時診断はd-TGA (I): 83例、(II): 44例、(III): 20例、(IV): 10例 (d-TGA (IV)=intact ventricular septum + mild LVOTO)。【結果】早期死亡41例(26.1%)、遠隔死亡29例。遠隔死亡の原因は心不全: 7、PVO: 6、突然死: 3、PH crisis: 2、感染: 2、その他: 9。耐術例の観察期間は19.5±13.2年で遠隔生存率は20年、55.2%、30年、54.3%であった。動脈スイッチ手術が導入された1982年以降の54例では20年、30年ともに79.4%であった。Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では早期死亡のリスクはMustard手術, 長い体外循環時間、術前心胸郭比(p = 0.0001, 0.0008, 0.0165)、遠隔死亡のリスクはMustard手術 (p < 0.0001)であった。再手術は23例に26回施行された(ペースメーカー植え込み術 (PMI): 6、三尖弁手術: 5、PVO修復: 5、SVC狭窄修復: 3、その他: 7)で、再手術回避率は20年、83.1%、30年、76.7%であった。再手術のリスクはd-TGA (II) or (III)の診断 (hazard ratio, 2.82; 95% confidence interval, 1.20-6.63, p = 0.01)であった。心電図上のPQ間隔は次第に長くなり(129±35, 154±28, 192±44 msec at 1 month, 12 years, 30 years later, p < 0.01), 6人が術後20年以上経ってからペースメーカー植え込み術を要した。4人が出産を経験していた。【結語】1982年以降に施行された心房スイッチ手術の遠隔成績は予想より良好であった。Mustard手術とd-TGA(II), (III)が危険因子で、不整脈の発生とPMIに対する慎重な経過観察が必要である。 |