カツベ タケシ
Katsube Takeshi
勝部 健 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 助教 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | ドイツでの DT 治療の現状から考察する本邦 DT 治療導入への課題 |
会議名 | 第5回Destination Therapy(DT)研究会 |
主催者 | Destination Therapy(DT)研究会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎駒ヶ嶺正英, 齋藤聡, 梅原伸大, 立石実, 勝部健, 磯村彰吾, 柏村千尋, 湯上晋太郎, 門脇拓, 布田伸一, 山崎健二 |
発表年月日 | 2017/03/17 |
開催地 (都市, 国名) |
金沢市 |
概要 | ヨーロッパでは、2005 年 Heart Mate Ⅱが Destination Therapy (DT) の CE Mark を取得、続いて 2012 年には Heart Ware、また 2015 年には Heart Mate Ⅲが、CE Mark Clinical Trial を経て取得している。ドイツは現在、Euro Transplant という 8 か国からなる移植ネットワークに加盟しており、統計によると、2015 年ドイツで移植リストに載り移植待機中の患者数は 773 人、ドイツでの心臓単独の移植件数は、283 例であった。そのため、緊急度により異なるが、移植まで平均して約 2-3 年の待機期間を要しているのが現状である。ドイツ国内での新規体内式 LVAD 植え込み術は年間 900 例前後で推移しており、その内の約 40% 程度が DTによる植え込みである。DT の適応としては、心臓移植適応外である① 70 才以上②5年以内の悪性腫瘍の発生③末期的臓器障害を合併するインスリン依存性糖尿病④慢性腎不全⑤薬物中毒⑥高度肥満⑦重度肺高血圧症等が挙げられている。
ドイツ国内での Destination Therapy による VAD 植え込み数は年々増加傾向にあり、医療経済の面からも、また管理体制や終末期医療の問題も改めて浮き彫りになってきている。ドイツの医療保険制度は本邦とは異なり、主に公的保険、私的保険に分けられ医療費は基本的に保険料で財源が賄われる形になっている。ドイツの医療保険料率は15%程度であり、日本の健康保険料率が平均すれば10%未満である点と比較し高い水準にあるが、公費の負担割合が圧倒的に低いのが特徴である。実際にDestination Therapy を含む、補助人工心臓植え込み術の治療費は Krankenkasse ( 疾病保険組合 ) が全額負担している。 また、VAD 治療の終末期医療という点においてドイツでは、治療の終了(VAD ポンプ停止)は、医師、家族間の信頼関係の上で成り立つ医師の裁量権で認められている。日本では、現在移植までの待機期間が 4-5 年と延長してきており、実質諸外国での DT に近い状態となってきている。DT が本邦で導入される為には、ドイツで現在改めて浮き彫りになっている、増加する VAD 植え込み患者に対する VAD 管理施設等を含めた管理体制の再構築、医療経済の検討、終末期における法整備が不可欠であると考えられる。 |