タムラ マナブ
Tamura Manabu
田村 学 所属 研究施設 研究施設 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 初発退形成性神経膠腫147例の長期治療成績 — 摘出率および分子マーカーと予後との相関 |
会議名 | 日本脳神経外科学会第73回学術総会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎新田雅之, 村垣善浩, 丸山隆志, 齋藤太一, 田村学, 生田聡子, 小森隆司, 岡本沙織, 前林勝也, 伊関洋 |
発表年月日 | 2014/10/09 |
開催地 (都市, 国名) |
東京都 |
学会抄録 | 日本脳神経外科学会第73回学術総会 |
概要 | 【緒言】退形成性神経膠腫(AG)の標準治療は手術摘出に加え、欧州は放射線、米国と日本では放射線とTMZ化学療法とされている。一方、我々は2000年よりAGに対し情報誘導手術による積極的摘出とACNU base化学放射線療法を行ってきた。単施設の成績を遺伝子検索の結果を含め後方視的に報告する。【方法】2000-11年に当科で治療した初発AG163例。NF、上衣腫、テント下症例を除く147例を対象(M:F 94:53, 平均43.9yo)。組織はAA69例(41%), AOA43例(29%), AO44例(30%)。摘出度は全摘46(31%), 部分摘89(61%), 生検12(8%)で摘出中央値95%。術後は60Gy放射線治療とACNU base化学療法を施行。Mib-1中央値13%、平均観察期間57ヶ月で追跡率95%。IDH1変異は免疫染色、1p19q欠失はFISH法で評価した。【結果】OSは中央値未達で、5y-OS 72%, 10y-OS 66%。組織別ではAA, AOA, AOの5y-OSは64%, 79%, 77%、10y-OSは58%, 74%, 77%で組織間の有意差なかった(P=0.27)が、全国統計(5y-OS AA, AOA, AA: 41%, 69%, 68%)と比べAAが特に好成績だった。全摘、部分摘、生検の5y-OSは83%, 70%, 39%で有意差あり(P=0.0024)、摘出率はAAの予後と相関したが(P=0.02)、Oligo系では相関しなかった(P=0.64)。化学療法において、ACNU単独群とPAV群でOSに有意差はなかった。1p19q欠失(P=0.0004)、IDH1変異(P<0.0001)は共に有意に予後と相関した。IDH1 WT, 1p19q欠失なしのdouble negative G3(DNG3)は組織系に関わらず(5y-OS 24.0%, MST 34.7mo)、一方でも陽性群(5y-OS 86%, MST未達)に対し有意に予後不良だった(P<0.0001)。【結論】AGに対する積極的摘出とACNU化学放射線療法は5y-OS 72%、10y-OS 66%と従来報告にない長期成績を示した。腫瘍摘出は特にAAの予後に貢献した。IDH1および1p19q欠失は共に予後因子で、分子マーカーに基づく治療選択が必要、術前・術中のIDH1、1p19q評価が重要となる。DNG3は極めて予後不良で、膠芽腫に準じた集学的治療が必要であり、免疫療法や光線力学療法等の新規治療を積極的に導入すべきと考える。 |