ハツトリ モトシ
Hatsutori Motoshi
服部 元史 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 非常勤嘱託 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの AUC 推定法の検証 |
会議名 | 第26回 日本TDM学会•学術大会 |
主催者 | 日本TDM学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | ポスター掲示 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎外賀裕次郎, 木村利美, 長谷川(宮下)由希, 岡田賢二, 佐川賢一, 服部元史, 佐古まゆみ, 土田尚, 飯島一誠 |
発表年月日 | 2009/06/13 |
開催地 (都市, 国名) |
新潟 |
学会抄録 | TDM研究 第26回日本TDM学会•学術大会プログラム抄録集 26(3),s147 2009 |
概要 | 【目的】
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、代謝物であるミコフェノール酸(MPA)の血中濃度が臨床効果や副作用に関連することが報告されており、AUC0-12をモニタリングしながらの投与が推奨されている。FULL SamplingによるAUC0-12の算出は患者負担が大きく、少数採血ポイントからAUCを推定する様々なLimited Sampling Strategyが報告されているが、AUCの推定方法は確立されていない。 そこで、FULL Samplingにより算出した実測AUCを用い、推定AUCの算出方法(重回帰による推定、MPA母集団パラメータによるベイズ推定)を検証した。 【方法】 検証は「医療技術実用化総合研究事業 小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの有効性・安全性の確認、用法・用量の検討・確立に関する研究」においてMMFが投与された患児7名7事例よって行った。採血は腎移植施行後3カ月後に内服直前および0.5,1,1.5,2,4,6,12時間後(以下それぞれC0,C0.5,C1,C1.5,C2,C4,C6,C12)に実施された。実測AUC0-12はMPA実測血中濃度に基づき、台形法により算出した。MMF投与量586~974mg/m2/day、体重12.7~53.5kg。 AUCの推定は以下の方法で行った。1)重回帰推定法:東京女子医科大学病院(腎移植後患児4名7事例)において作成された重回帰式によるAUC推定、2)ベイズ推定法:戸田ら1)により報告されたMPA母集団パラメータ式によるAUCのベイズ推定(NONMEM ver.VI)。 それぞれの手法において1~3点の血中濃度に基づく推定AUCの算出を、全ての採血点の組み合わせによって行ない、実測AUCを従属変数とした単回帰分析を実施し、傾きおよび切片、決定係数(r2)により推定性を評価した。 【結果】 AUC0-12:34.8±15.7mg・hr/L(mean±S.D.以下同様、Range:10.5~57.1 mg・hr/L)、最高血中濃度:16.1±6.80mg/L、最低血中濃度:0.84±0.49mg/L、最高血中濃度到達時間:0.79±0.57hr(Range:0.5~2hr)であった。 1)重回帰推定法:推定AUCによる実測AUCの単回帰分析において、傾き=1、切片=0に近く、かつ高い決定係数(R2=0.772、傾き=0.96、切片=1.2)が得られた既存AUC推定式の採血点は(C1,2,6)であった。これは、AUC推定式(1.08C1+1.73C2+8.47C6+2.47)作成時の推定精度(R2=0.986)が良好であり、有用性が示唆された。 2)ベイズ推定法:採血点(C1,2,6)による推定AUCと実測AUCの単回帰分析で得られた回帰式は、傾き=0.31、切片=21、R2=0.419であった。 【考察】 重回帰法による推定AUCの中には、負の値を示すものも散見された。推定AUCが負となった推定式の切片は絶対値が大きくかつ負の値を示していた。重回帰式の切片が大きい場合、実測AUCが小さなものは過大評価または過小評価をする可能性が示唆された。重回帰式において最も良好な推定性を示した採血点は(C1,2,6)の3点であったが、これらを用いたベイズ推定値は良好でなかった。G.Fillerらも3点採血では(C1,2,6)を支持している2)が、彼らの推定式を用いても推定性は良好であると認められなかった。 【結語】 AUC推定式(1.08C1+1.73C2+8.47C6+2.47)の有用性が示唆された。MMFは個体間変動が大きいことが認められており、AUCの推定には検討した集団の影響を受けていた。個体間変動要因や個体内変動要因の検索により推定式の補正もしくは推定方法の使い分けが必要であると考えられた。 |