アラシキ ノブト   Arashiki Nobuto
  新敷 信人
   所属   医学部 医学科
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 老化赤血球のバンド3タンパク質のクラスター化におけるメトヘモグロビンの役割
会議名 第33回日本分子生物学会第83回日本生化学会合同大会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎新敷信人, 萬野純恵, 高桑雄一
発表年月日 2010/12/09
開催地
(都市, 国名)
神戸
学会抄録 第33回日本分子生物学会第83回日本生化学会合同大会プログラム 337
概要 【背景と目的】赤血球は酸化ストレスに曝されながら体内を循環し、120日後、脾臓のマクロファージに捕らえられる。それには、膜を貫通するバンド3タンパク質 (Band 3) のクラスター化が重要であると考えられているが、クラスター化のメカニズムは未だ不明である。昨年の本大会において、老化赤血球でのみ見られるBand 3のクラスター化は、赤血球内の還元能の低下に起因し、蓄積したMetHbが過酸化を受けた膜に存在するBand 3に結合することでそれらを集合させることを報告した。本研究では、老化赤血球のみでMetHbによりクラスター化が誘導されるメカニズムを、1) MetHbは脂質過酸化を受けた膜に存在するBand 3により強く結合し、2) 膜骨格と連結せず可動性のあるFree Band 3を集合させると考え、検証することを目的とした。【方法と結果】まず、比重分画により分離した赤血球から、老化および、脂質過酸化剤t-butyl hydroperoxide処理した反転膜小胞 (IOV) を調製し、MetHbを加え、IOVに結合したHb量をイムノブロットにより解析したところ、MetHbは、通常赤血球膜よりも、老化および、脂質過酸化処理された膜に存在するBand 3に対して強く結合し、その結合は正の協調性をもつことが明らかとなった。現在、正の協調性のメカニズムを検証するため、通常は多量体で存在するBand 3およびMetHbを単量体にして結合実験を行っている。次に、老化および、過酸化膜ゴーストにHbあるいはMetHbを再封入した後、Triton X-100により赤血球膜を可溶化し、Free Band 3のみを回収して、SDS-PAGEによりその量を比較したところ、クラスター化が誘導される、MetHbを再封入した老化および、過酸化膜ゴーストにおいて50%程度まで優位に減少していた。【考察】Band 3は、脂質過酸化の影響により、構造的な変化がもたらされ、MetHbとの結合能が高まる可能性が考えられた。また、MetHbにより誘導されるクラスター化Band 3は、Free Band 3が膜骨格と連結したBand 3に集合させられ、形成されると考えられた。