ハナフサ ノリオ   Hanafusa Norio
  花房 規男
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
種別 部分執筆
表題 透析関連排水の適正管理 透析排水管理に必要となる中和システムと薬剤
書名 日本透析医学会雑誌
ISBNコード 0914-7136
版・巻・頁 57,390頁
出版社(一社)日本透析医学会
出版地
(都市, 国名)
東京, 日本
著者・共著者 安部 貴之, 鵜川 豊世武, 土谷 健, 花房 規男, 星野 純一
発行年月 2024/05
概要 透析施設で使用する洗浄剤は,酢酸やクエン酸などの酸性洗浄剤と次亜塩素酸などの塩基性洗浄剤がある.これらは,排水基準を逸脱する可能性があるため,解決策としては,pHを調整することができる中和装置を設置するか,調整が必要ない排水基準を逸脱しない中性洗浄剤を使用することが求められる.透析施設にとって,法律遵守のために必要な管理であり,費用も安価ではないことから,それぞれ特徴を把握し,施設に合わせた選択をするべきである.
中和装置は,流入する透析排水のpHと流量に応じて対応可能かどうかの判断をする必要がある.装置の大きさや設置までの動線,工事条件に加えて,中和方法,管理方法,ランニングコストなどについても検討する必要がある.中和方法は劇薬である中和剤を用いたものがあり,透析液を中和剤として用いる装置もある.中和方法により管理方法は異なり,中和剤の保管や補充を透析スタッフが行うか業者に委託するかによっても,業務の負担やランニングコストは異なる.
中性の洗浄剤は,中和装置を用いなくても排水のpHが排水基準を逸脱しないように洗浄・消毒を行うことが可能である.排水基準内で,透析施設側が求める効果があれば非常に有用であるが,消毒および炭酸カルシウム除去などの効果について各施設で十分に検討し,維持してきた清浄度に影響のないようにしなければならない.また,中和装置を設置せず,中性洗浄剤のみで透析排水基準を守ろうとする場合には,その後の清浄度の変化に対し中性洗浄剤しか選択できないこととなるという認識をすること,またコストが比較的高額であることなどに注意し,施設で十分に議論する必要がある.
本講演では,中和装置の特徴と中性洗浄剤についての紹介および透析スタッフとして,今後どのように対応すべきかについて議論したい.