ムラガキ ヨシヒロ   MURAGAKI Yoshihiro
  村垣 善浩
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 循環水冷式バイポーラ鑷子の開発と評価
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022
掲載区分国内
巻・号・頁 82(2),57-61頁
著者・共著者 紫雲俊美†, 鈴木孝司, 村垣善浩, 伊関洋
発行年月 2012/04
概要 脳神経外科手術等の外科的処置に用いられるバイポーラ鑷子は、鑷子先端部への凝固組織の付着による凝固止血能力の低下や鑷子先端部を組織から引き離す際に組織を損傷する問題があった.鑷子先端部の素材・表面状況の改善による凝固組織の付着防止や、ヒートパイプを用いた鑷子先端部の冷却による付着防止が試みられてきたが完全ではなかった.本研究ではラジオ波焼灼術に用いられる穿刺針を参考に、循環水冷方式による鑷子先端の冷却を行い、凝固組織の付着防止する鑷子を試作した.評価実験として、ex vivo環境でブタの脳・頸動脈、鶏ササミを対象に凝固試験を行った.高周波ジェネレータの出力は5、15、25W、印加時間は脳に60秒、頸動脈、ササミに5秒とした.鑷子先端の開き幅は脳、ササミで3mmとし、頸動脈は血管を挟むように摘んで凝固した.In vivo環境でブタの脳・股動脈・股動脈周辺組織を対象に、出力10Wで凝固試験を行った.水冷の有無による凝固時間、凝固組織の鑷子先端への付着を比較した.Ex vivoおよびin vivo実験において、水冷した場合には鑷子先端への凝固組織の付着は観察されなかったが、一方で凝固に要する時間が水冷なしの場合に比較して延長する結果となった.これは鑷子先端の温度上昇に伴う熱凝固が作用せずに、組織内を流れる電流により発生したジュール熱のみで凝固作用が生じたためであると考えられ、出力を増加させ印加エネルギーを増やすことで補償可能であると考えられた.また鑷子先端部はステンレス素材をそのまま使用していることから、従来の凝固組織の付着防止策と同等かそれ以上の性能を有していることが示され、同時に市販されているヒートパイプ方式に比較して半分以下の太さの鑷子を実現することができた.以上より本研究で開発した循環水冷式バイポーラ鑷子は鑷子先端部への組織付着が少なく、使い易い手術器具であると考えられる.(著者抄録)
文献番号 2012252971(医中誌)
NAID 110009004318