シミズ ユウコ   SHIMIZU Yuko
  清水 優子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 反復性の意識減損発作で発症した右海馬梗塞の症例
掲載誌名 正式名:日本薬物脳波学会雑誌
ISSNコード:13465023
掲載区分国内
出版社 日本薬物脳波学会
巻・号・頁 13(1),15-19頁
著者・共著者 丸山 恵子, 大澤 美貴雄, 清水 優子, 内山 真一郎
発行年月 2012/06
概要 今回、右海馬梗塞によると考えられる複雑部分発作が、ルーチン脳波ではなく臨床経過とカルバマゼピンの効果より診断しえた1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。症例は、61歳男性で、ある日仕事で移動していた途中から取引先に面会するまでの記憶がなく、その後も取引先に戻る途中の記憶が再びなくなり、気付いたら知らない街のパチンコ屋で他人の台でパチンコを打っていた。店員が通報し、警察に保護され職場まで戻ったが、警官から受診を勧められ、同日当院を受診した。頭部MRIにて右海馬、中脳右側、左の視床、左三角部周囲白質などに急性期小梗塞が複数認められたため、当科に緊急入院した。受診時、心房細動が認められたことから心原性脳塞栓症と診断し、抗凝固療法を開始した。発作間欠時のルーチン脳波では明らかな突発性異常波は認められなかったが、発作の経過から、右海馬梗塞が上記の発作の焦点になり、early seizureとして複雑部分発作を惹起したと考えられた。退院後も同様の発作が繰り返し出現したが、カルバマゼピン200mg/日により消失した。複雑部分発作を呈した海馬梗塞の報告は、検索し得た限りでは少ないが、一過性全健忘との異同が問題となる。本症例のように複雑部分発作の診断には、発作間欠時のルーチン脳波が必ずしも有用ではなく、突発性で一過性の異常行動、発作中の記憶障害、および抗てんかん薬の効果により臨床的に診断しえたと考えられる。(著者抄録)
文献番号 2013064480