タカナシ ジユンイチ   TAKANASHI JUN-ICHI
  髙梨 潤一
   所属   医学部 医学科(附属八千代医療センター)
   職種   教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 2012年〜2017年5年間の小児集中治療室に入室した下気道感染症の小児から検出された呼吸器ウイルスの検討
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022/24326178
掲載区分国内
出版社 東京女子医科大学学会
巻・号・頁 90(1),14-20頁
著者・共著者 ◎出口 薫太朗, 濱田 洋通, 廣瀬 翔子, 本田 隆文, 安川 久美, 西嶋 陽奈, 小倉 惇, 高梨 潤一
発行年月 2020/02
概要 【緒言】集中治療を必要とする小児において下気道感染症は頻度の高い疾患であるが,迅速抗原検査・細菌培養検査で病原体を特定できないことも多い.本研究では5年間にわたり重症下気道感染症の児から検出されたウイルスについて検討した.【対象と方法】2012年4月から2017年3月までに当院小児集中治療室(PICU)単施設に入室し,高流量酸素療法を含む人工呼吸管理を必要とした下気道感染症153例について後方視的に検討した.RSウイルス(Respiratory synical virus:RSV),ヒトメタニューモウイルス(Human metapneumovirus:hMPV),インフルエンザウイルス(influenza virus:flu)の各迅速抗原検査及び抗原検査陰性37例については鼻咽腔ぬぐい液から核酸を抽出しPCR法によりRSV,hMPV,アデノウイルス(Adenovirus:AdV),エンテロウイルス(Enterovirus:EV),ヒトボカウイルス(Human bocavirus:HBoV),パラインフルエンザウイルス(Human parainfluenza virus:PIV)の検出を行った.診療録から各検出ウイルスと患者背景,検査所見,治療内容,予後について検討した.【結果】男女73:80,年齢中央値1歳1ヵ月(0ヵ月-13歳),基礎疾患を59%に認めた.147例(96%)で少なくとも1種以上のウイルスが検出され,単独のウイルスが検出された患者が137例(89.5%),複数のウイルスが検出された患者が10例(6.5%)であった.単独での検出頻度は順にRSV,hMPV,EV,flu,HBoV,PIVであった.RSVは6ヵ月未満,EVは1歳未満,hMPV,HBoVは1歳以上を中心に分布していた.季節性は従来報告と同様に認められた.RSVとfluは健常児の入室が過半数を占めたが,それ以外のウイルスが検出された患者は基礎疾患を有することが多かった.入室期間は検出ウイルスにより差はなく,基礎疾患の有無に影響された.後遺症は死亡1例,気管切開2例,在宅酸素療法導入が1例であった.【結語】PICU入室の小児下気道感染症において検出される呼吸器ウイルスはRSVが最多であった.RSVとflu以外は基礎疾患を有する者が多く,入室期間は基礎疾患の有無に影響された.(著者抄録)
文献番号 2020226528