テラダ タカヒロ   TERADA TAKAHIRO
  寺田 尚弘
   所属   医学部 医学科(附属八千代医療センター)
   職種   講師
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
招待の有無 招待あり
表題 重症患者における血中可溶性E-selectin濃度測定の臨床的意義(Soluble endothelium-selectin (sE-selectin) in critically ill patients)
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022/24326178
掲載区分国内
出版社 東京女子医科大学学会
巻・号・頁 76(12),467-476頁
著者・共著者 寺田 尚弘, 中川 隆雄, 矢口 有乃, 岡嶋 研二, 鈴木 忠
発行年月 2006/12
概要 全身性炎症反応性症候群(SIRS)は侵襲に対する生体反応としてTNF-αなどの炎症性サイトカインにより引き起こされる.この中には,一過性で自然軽快に向かうSIRSと,重篤な感染症・組織障害を伴い多臓器障害(MOF)へと重症化するSIRSがあり,両者を早期に鑑別診断できれば重篤化しないように対策でき臨床上の利点が大きい.E-selectinはセレクチンファミリーに属する単鎖糖蛋白で,血管内皮細胞に分布し内皮と好中球・単球等の接着に関与する細胞接着分子の一つであり炎症性サイトカインにより誘導され,炎症性疾患や癌患者の血中に出現することが知られている.我々は血中soluble E-selectinに着目しSIRS患者の重症度,予後,各臓器の機能不全との相関と重症患者の予後判定に有用か検討した.SIRSと診断されSOFAスコアーで3点以上を呈した症例50例を対象とし,第0,1,3,5,7病日にsE-selectinを測定し検討した.結果,来院時の血中sE-selectinは第28病日の死亡群が生存群に比べ有意に高値を示し,その後の変動も死亡群で有意に高値が続き,患者の予後を推測できた.MOF群と非MOF群間の比較では,MOF群が有意に高値を示した.また,sE-selectinが上昇すると共に不全臓器数も増加し,さらにSOFA scoreとsE-selectin値の変動は正の相関を認めた.またsE-selectin値と各臓器障害の相関をみると,呼吸器系の重症度を反映するPaO2/F1O2比(P/F ratio)でsE-selectin値が最も有意に相関し,急性肺障害(ALI/ARDS)群とnon-ALI/ARDS群ではALI群でsE-selectin値が有意に上昇した.播種性血管内血液凝固症候群(DIC)群とnon-DIC群の間ではDIC群でsE-selectinが有意に高値を示し,DIC scoreとsE-selectin値の間でも正の相関を認めた.以上よりsE-selectinはDIC score・SOFA score・呼吸・凝固・腎臓の機能不全のみならず患者の生命予後とも相関することから,重症化や生命予後の有用な血中マーカーになると考えられた.(著者抄録)
文献番号 2007191763