クロダ ハジメ   KURODA Hajime
  黒田 一
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   教授
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 診断に苦慮した多発性骨髄腫の肝浸潤の1例
掲載誌名 正式名:断層映像研究会雑誌
ISSNコード:09148663/21870489
掲載区分国内
出版社 断層映像研究会
巻・号・頁 46(3),27-32頁
著者・共著者 中神 佳宏, 三須 陽介, 日下 めぐみ, 谷口 賢哉, 三谷 絹子, 大日方 謙介, 黒田 一, 楫 靖
発行年月 2020/01
概要 症例は70歳代、男性。主訴は体力の低下。近医を受診し、糖尿病、高ガンマグロブリン血症、肝門部腫瘤を指摘され、当院へ紹介受診となった。高ガンマグロブリン血症に関しては、骨髄生検にて多発性骨髄腫の診断となった。MRIの拡散強調像にて、肝門部に約9cm大の異常高信号域が認められた。T2強調像では周囲の肝実質とほぼ等信号、T1強調像では低信号を示し、肝内脈管系は保たれていた。18F-FDG PET/CTではこの異常信号域と一致して強いFDG集積を呈する腫瘤性病変が指摘された。症状に乏しいため約半年間経過観察となっていたが、半年後の18F-FDG PET/CTにて肝門部の集積亢進の範囲が拡大した。悪性腫瘍の可能性を考慮し、肝生検が施行され、多発性骨髄腫の肝浸潤と診断され、化学療法施行。著効し、治療後の18F-FDG PET/CTにて肝の腫瘤性病変の縮小とFDGの集積低下が確認された。多発性骨髄腫の肝浸潤は比較的稀とされているが、今回18F-FDG PET/CT検査の変化が診断の一助となった。肝浸潤のような軟部組織の髄外腫瘤の同定には18F-FDG PETが有益であるとの報告がある。そのため、診断時より18F-FDG PETの施行が推奨されている。髄外腫瘤が最初からあることもあり、また、その存在が予後不良につながるが、他の検査のみではそれが見逃されることがあるためである。今回、多発性骨髄腫の肝浸潤の1例を経験した。これにつき、文献的考察を加え報告する。(著者抄録)
文献番号 2020138890