イセキ ヒロシ   ISEKI Hiroshi
  伊関 洋
   所属   研究施設 研究施設
   職種   非常勤講師
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 バルク高温超電導磁石を用いた磁気誘導ドラッグデリバリシステムの集積制御の可能性検討
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022
巻・号・頁 82(4),208-215頁
著者・共著者 入澤覚†, 村垣善浩, 伊関洋, 富田優, 西嶋茂宏
発行年月 2012/08
概要 Abstract:磁気応答性薬剤を磁場により誘導するドラッグデリバリシステム(MDDS)は,欧米で永久磁石を利用した治験が2度行われたものの実用化には至っていない.その一因として誘導用の磁力が不十分であったことが考えられる.より強力な磁場を用いたMDDSを実現すべくバルク高温超電導磁石を用いた強磁場発生装置が開発されており,最大磁場強度および最大磁気勾配は各々5.8Tおよび-480T/mであり,永久磁石の0.6Tおよび-31T/mより顕著に高い.本研究ではこの磁石を用いたMDDSの薬剤集積性能を評価した.バルク高温超電導磁石と25,80,170nmの径を有する酸化鉄磁気粒子を組み合わせ実験した結果,磁気粒子が集積率50%となる距離は各々12,48,144mmであり,永久磁石と比較して2.2倍以上長かった.また酸化鉄を内包したリポソームと永久磁石では集積率50%が実現されないのに対し,バルク高温超電導磁石と組み合わせた場合は集積率50%となる距離が26mmであった.さらに100nmの酸化鉄を用いて生体ブタ肝臓で磁気誘導を試みた.磁気誘導部ではコントロール部に比べT2*強調MRI像で顕著な集積を認め,組織標本で広い領域で鉄の染色が見られた.また、SQUID素子による磁化測定でも12-36倍高い信号値を示した.バルク高温超電導磁石を用いたMDDSは,1桁程度高い磁気勾配,2.2倍以上の薬剤集積距離,ブタ肝臓における高い磁気誘導効果をしたことから,より深部に磁力が到達させることが可能であり,対象臓器の拡大が期待される.また磁気応答性が弱いものの薬剤放出能の制御が可能なリポソーム薬剤等の新規設計の薬剤に対しても応用可能である.以上よりバルク高温超伝導磁石を用いることで臨床応用可能なMDDSが期待できる.(著者抄録)
NAID 110009557326