カワマタ タカカズ   Kawamata Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 摘出意思決定に有用な術中フローサイトメトリーを用いた脳腫瘍迅速病理診断
掲載誌名 正式名:Cytometry Research
ISSNコード:09166920/24240664
掲載区分国内
出版社 (一社)日本サイトメトリー学会
巻・号・頁 31(1),15-21頁
著者・共著者 郡山峻一†, 新田雅之, 村垣善浩, 塩山高広, 齋藤太一, 鈴木あかね, 丸山隆志, 小森隆司, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
発行年月 2021/07
概要 術中迅速フローサイトメトリー法(iFC)で、神経膠腫の悪性度評価と摘出断端の評価が短時間かつ客観的にできることが示された。11症例のIDH変異型神経膠腫45ヶ所の同一切片におけるMI値(増殖期細胞数(S、G2、M)+aneuploidy細胞数/全細胞数の比(%);Malignancy Index)と、術後の免疫染色切片のIDH陽性細胞比率を調べ、MI値との相関を評価した。その結果、ピアソン関数でr=0.83と非常に強い相関関係が得られた。低悪性度神経膠腫におけるaneuploidyと予後の相関について検討した結果、AneuploidyはIDH変異や1p/19q共欠失と同様に低悪性度神経膠腫の予後因子と考えられた。神経膠腫の分子診断に必要なIDH変異をhigh resolution melting(HRM)法で、1p/19q共欠失を代替マーカーであるp53およびATRXの術中免疫染色法を用いることで、約1時間で遺伝子型を同定可能なシステムや、1p/19q共欠失の代替マーカーとしてTERT変異を同定する方法も開発している。102例の膠芽腫におけるMIと予後との相関を調べたところ、MIが低い腫瘍の方が有意に予後良好であった。また、多変量解析では、膠芽腫の予後因子として知られるIDH1変異やMGMT promotor変異などのうち、MIが最も有意差を持った予後因子であった。28例の中枢神経原発リンパ腫(PCNSL)と222例の膠芽腫のiFC結果を検証した。その結果、膠芽腫の54.5%にaneuploidyが認められたが、PCNSLでは7.14%であった。また、G0/G1期のpeakに対するS期の割合はPCNSLで有意に高値であった。AneuploidyとS期細胞割合の2項目を用いた診断フローチャートを作成したところ、感度89.3%、特異度93.7%と高い精度で両者を鑑別できる結果となった。
DOI 10.18947/cytometryresearch.31.1_15
文献番号 2021333942