シミズ ユウコ   Shimizu Yuuko
  清水 優子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 多発性硬化症の妊娠・出産 自験例を含めた最近の知見
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022/24326178
掲載区分国内
出版社 東京女子医科大学学会
巻・号・頁 84(臨増1),E29-E34頁
著者・共著者 清水優子†
担当区分 筆頭著者
発行年月 2014/01
概要 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、免疫性神経疾患の代表的な中枢神経の脱髄性疾患である。MSの発症年齢は、出産可能な年齢に一致するため、妊娠・出産については日常的に遭遇する問題である。MSの妊娠期は再発率が顕著に低下し、妊娠期には病勢は安定するが、出産後3ヵ月に再発率が最も高くなることが特徴である。多くのMS患者が妊娠前にInterferon-β(IFNβ)や、フォンゴリモドなどの治療を受けており、治療薬の胎児への暴露の影響が懸念される。本稿ではMSの妊娠・出産に関する最近の知見と自験例を合わせて紹介する。当科で経験したMS妊婦15例のうち7例は妊娠前に無治療で、8例はIFNβ治療を妊娠前より投与していた。IFNβ治療施行の8例のうち4例は妊娠初期に偶発的にIFNβの暴露(平均7.75±4.35週)があり、3例は経腟分娩、1例は帝王切開、3例は平均出生体重児、1例は低出生体重児であった。いずれも健児で、発達・発育は正常であった。挙児希望のMS患者には、再発頻度が高い場合、まずIFNβ治療を開始し、病勢を安定させ、安定した場合には妊娠1ヵ月まえにIFNβを中止すれば胎児への重篤な影響はないこと、疾患活動性が高い場合には妊娠のモニタリングを行い、妊娠が判明したらただちに中止することが重要である。経口新薬のフィンゴリモドについては先天性奇形が3例報告されており、妊婦への安全性については今後の症例の集積が待たれる。(著者抄録)
文献番号 2014179644