シミズ ユウコ   Shimizu Yuuko
  清水 優子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 HIV感染症を伴ったIsaacs症候群
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022/24326178
掲載区分国内
出版社 東京女子医科大学学会
巻・号・頁 78(臨増),105-108頁
著者・共著者 望月 温子, 竹内 恵, 清水 優子, 内山 真一郎, 岩田 誠
発行年月 2008/02
概要 Isaacs症候群は筋硬直,有痛性筋痙攣,ミオキミア,線維束性収縮,収縮後の弛緩障害,発汗過多を主徴とする自己免疫疾患である.電位依存性Kチャンネルに対する抗体である抗voltage-gated potassium channels (VGKC) 抗体の存在が示され,末梢神経の過興奮を生じる.時に重症筋無力症,胸腺腫,橋本病などの自己免疫疾患との合併がみられる.一方,human immunodeficiency virus (HIV) 感染症は自己免疫異常を引き起こすため自己免疫疾患関連症候として最近注目されている.今回われわれは,HIV感染症を伴ったIsaacs症候群を経験したので報告する.症例は44歳男性である.筋硬直, 筋収縮後の弛緩障害,ミオキミアや線維束性収縮などの筋自発運動を認めた.電気生理検査では針筋電図検査にてミオキミア放電やニューロミオトニー放電が出現し,F波の検査にてM波の後に続く反復放電を認めた.高ガンマグロブリン血症があり血中IgG,IgAが高値であった.抗HIV抗体がPA法で4096倍でありHIV RNA量は57000コピー/mlであった.抗VGKC 抗体がRIA法で陽性であった.HIV感染症を伴ったIsaacs症候群と診断された.CD4数が309/μl の時にhighly active anti-retroviral therapy ( HAART ) 療法が開始され,CD4数は737 /μlに増加した.Isaacs症候群の症状は徐々に改善した.自己免疫疾患はHIV感染を伴う患者に生じることがあるが,機序については明らかでない.これまでHIV感染症にIsaacs症候群を合併した報告例はなく,本例が最初の症例と考えられた.本例の抗VGKC抗体の産生には,HIV感染によるB細胞系の活性が関与していた可能性が考えられた.(著者抄録)
文献番号 2008207049