イチノエ アキマサ
Ichinoe Akimasa
一戸 晶元 所属 医学部 医学科(附属足立医療センター) 職種 講師 |
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論文種別 | 症例報告 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
表題 | 卵巣原発印環細胞癌の一例 |
掲載誌名 | 正式名:福岡産科婦人科学会雑誌 ISSNコード:2187-7211 |
巻・号・頁 | 36(1),13-16頁 |
総ページ数 | 4 |
著者・共著者 | 小川尚子†, 井上修作, 荻原章子, 北村知恵子, 瓦林靖広, 一戸晶元, 中並尚幸, 高島健, 尼田覚 |
発行年月 | 2012/11 |
概要 | 69歳(2経妊2経産)。数ヵ月間持続する腹部違和感にて近医を受診、腹部腫瘤を指摘され、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、超音波断層では子宮頭側に径135×93×130mmの充実成分を有する嚢胞性腫瘤が認められた。また、骨盤MRIでは子宮体部腹側に一部嚢胞性部分を混じた充実性腫瘤が確認され、胸腹部CTでは骨盤腫瘤のほかに十二指腸レベルの傍大動脈前面に径15mm大の腫大したリンパ節が認められた。以上、これらの所見に加えCEA、CA125、LDHの高値および炎症反応の上昇から卵巣腫瘍と考え、開腹術が行われたが、開腹所見では右卵巣は径20cm大に腫大し、腸管、骨盤、腹膜と癒着しており、骨盤腹膜、大網、腸管に最大径5mmの播種性病変が認められた。一方、右卵巣腫瘍の術中迅速病理組織診はKrukenberg tumorで、病理組織学的にSignet ring cell carcinoma(印環細胞癌)であった。更に大網と腹膜には転移を認めるも他の原発巣は認められなかった。このことから本症例は原発性卵巣癌、卵巣癌IIIc期(pT3cNxM0)と診断され、術後3週目より補助化学療法としてパクリタキセル・カルボプラチン療法を開始した。だが、2コース終了後に強い腰痛が出現し、多発骨転移と多発肝転移を認め、疼痛緩和目的に放射線療法を開始したものの、肺転移および肺癌性リンパ管炎を認め、加えて低酸素血症、呼吸不全状態となった。以後、対処として在宅酸素療法を導入して退院としたが、患者は2週間後のTC療法2コース目から2ヵ月目に死亡となった。 |