コンドウ ツネノリ
Kondou Tsunenori
近藤 恒徳 所属 医学部 医学科(附属足立医療センター) 職種 教授 |
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論文種別 | 症例報告 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
表題 | ニボルマブ関連大腸炎に対してステロイドが有効であった転移性腎細胞癌の1例 |
掲載誌名 | 正式名:東京女子医科大学雑誌 ISSNコード:00409022/24326178 |
掲載区分 | 国内 |
出版社 | 東京女子医科大学学会 |
巻・号・頁 | 89(2),38-41頁 |
著者・共著者 | 木下 翔太郎, 土岐 大介, 近藤 恒徳 |
担当区分 | 最終著者 |
発行年月 | 2019/04 |
概要 | 免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブが、2016年8月より腎細胞癌に対して保険適用となった。これまでの抗悪性腫瘍薬とは異なる作用機序の薬剤として注目を集めている一方、免疫関連の特有の有害事象も報告されている。今回我々はステロイドが有効であったニボルマブ関連大腸炎の症例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する。症例は71歳女性、1989年左腎癌にて根治的左腎摘除術を施行した。病理は淡明細胞癌であった。その後肺・副腎転移に対し、2009年、2012年2013年に外科的切除を行った。2015年5月より肺転移の増大に対しソラフェニブの投与を行ったが、嘔気による副作用で2016年11月に中止した。しかし、副腎・肺転移の増悪のため2017年3月よりニボルマブの投与を開始した。7クール終了後のCT評価では標的病変が右副腎で46%減少、右肺下葉で33%減少と部分奏功であった。10クール投与後、39.7℃の発熱、嘔吐、1日10回以上の下痢が出現し緊急入院となった。血液生化学所見では、白血球31,300/ul、CRP 10.5mg/dlと炎症反応の上昇を認めた。感染性腸炎とニボルマブ関連大腸炎双方の可能性を考え、入院直後よりメロペネムの投与を開始した。しかし投与3日後も下痢・炎症反応が持続し、またCTにてニボルマブ関連大腸炎に特徴的な腸管壁の浮腫状肥厚を認めたことから、グレード3のニボルマブ関連大腸炎を疑い、メチルプレドニゾロン2.5mg/kg/日の投与を開始した。ステロイド投与開始後速やかに下痢・炎症反応とも改善を認めた。各種培養、便中クロストリジウムディフィチル検査とも陰性であり、感染性腸炎は否定され、最終的にニボルマブ関連大腸炎と診断した。メチルプレドニゾロンは症状の改善と伴に漸減し入院後第22病日軽快退院となった。症状は軽快したが適正使用ガイドに基づき、ニボルマブ投与は中止した。ニボルマブ関連大腸炎は免疫関連副作用の中でも重篤化のリスクが高く、その管理に習熟しておく必要があると考えられた。(著者抄録) |
文献番号 | 2019219423 |