スズキ ケイコ   Suzuki Keiko
  鈴木 恵子
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   非常勤講師
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 小児脳梗塞の3例
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:00409022/24326178
掲載区分国内
出版社 東京女子医科大学学会
巻・号・頁 77(臨増),E97-E102頁
著者・共著者 ◎神尾綾乃, 鈴木悠, 新井麻子, 香川麻子, 若林康子, 鈴木恵子, 本間哲, 上田哲, 梅津亮二, 杉原茂孝
発行年月 2007/05
概要 2002年から2004年に東京女子医科大学東医療センター小児科において小児脳梗塞の3例を経験した。症例1は2歳女児で川崎病(9ヵ月)の既往があった。1歳から軽微な運動障害が疑われ、2歳時の精査で左後頭葉の陳旧性梗塞を認めた。症例2は3歳男児で転倒が疑われた翌日から右半身麻痺と構音障害で発症し、第2病日のMRIで左被殻から尾状核の梗塞とMRAで左中大脳動脈M2segmentの限局性狭窄がみられた。症例3は7歳男児、意識障害で発症した。発症時発熱や白血球増多を伴っていたことより感染が誘因と考えられた。脳梗塞の成因は一般に1血栓性、2塞栓性(心源性など)、3血行力学性の3つに分類されるが、血栓性が今回の3症例では特に関連があると考えた。3症例とも塞栓を形成するような基礎疾患がなく、また脳循環血液量が極端に減少するような全身状態ではなかったからである。症例1では川崎病が、症例2では軽微な転倒にともなう外傷、症例3では感染がトリガーとなった可能性が考えられた。この中で症例2では被殻から尾状核にかけての梗塞であり、支配血管は中大脳動脈M1から分枝する穿通枝動脈枝(レンズ核線条体動脈)である。過去の報告でも軽微な外傷後に基底核の梗塞をおこした症例が複数報告されており、小児の穿通枝は弾性があり伸展に対して損傷されにくいため断裂は起こらないが、内膜を損傷してその結果梗塞をもたらすと考えられている。症例1と3に一般的な凝固機能検査に異常はなく、局所的な血管の障害が疑われる。川崎病と感染といった違いはあるもののいずれも血管炎を併発したりサイトカインなどによる血管内皮障害を起こす可能性があり類似したメカニズムによる血栓の形成があった可能性も推察される。(著者抄録)
文献番号 2007331714