サトウ カヨコ
Satou Kayoko
佐藤 加代子 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 非常勤講師 |
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論文種別 | 総説 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
招待の有無 | 招待あり |
表題 | 性差医療 循環器疾患における性差 |
掲載誌名 | 正式名:東京女子医科大学雑誌 略 称:東女医大誌 ISSNコード:00409022/24326178 |
掲載区分 | 国内 |
出版社 | 東京女子医科大学学会 |
巻・号・頁 | 89(4),73-82頁 |
著者・共著者 | 佐藤加代子† |
担当区分 | 筆頭著者 |
発行年月 | 2019/08 |
概要 | 循環器疾患は発症率や病態,社会的背景を含む臨床像,またライフステージにより性差が認められる.エストロゲンには,心血管に対する間接的保護作用と直接的保護作用が知られている.間接的保護作用としては,血中LDL-Cの減少や血中HDLコレステロールの増加,直接的保護作用としては,血管内皮細胞や血管平滑筋細胞のエストロゲンレセプターを介する血管拡張反応や内皮型NO合成酵素(eNOS),プロスタサイクリン増加などによる抗動脈硬化作用が知られている.女性では性周期や閉経による心血管疾患への影響が大きい.エストロゲン分泌の低い黄体末期から月経期では冠攣縮性狭心症や急性冠症候群(ACS)の発症が多い.閉経により,脂質異常症,高血圧症,肥満,糖尿病などの動脈硬化リスクの増加やT細胞活性化と接着分子増加がおこり,それを基盤に心血管イベントリスクが上昇する.特に女性においては,糖尿病の心血管疾患に対する関与が男性に比べ大きい.また,ACSの病理学的機序は閉経前後で違いが認められ,閉経前はびらんが多く,閉経後は粥腫破綻が多い.さらに,更年期女性では微小血管狭心症がしばしば認められ,症状が多彩で診断が難しいことがある.微小血管狭心症では血管内皮機能の低下,冠血流予備能低下,冠静脈洞の乳酸値の高値を認める.超高齢化社会における問題点としては,高齢女性の心不全は,左心収縮能が保たれた拡張不全が主な病態であるHFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)が多い.また,動脈硬化と骨粗鬆症は共通の要因により進展し,骨・血管相関(vascular bone disease)が最近になり明らかとなった.女性ではライフステージでの性ホルモン環境により,動脈硬化進展による虚血性心疾患のみならず、微小血管狭心症や心不全に特徴を認める.女性のウェルエイジング(well-aging)には,Gender-specific medicineを考慮した心血管疾患の予防と治療が重要である.(著者抄録) |
DOI | 10.24488/jtwmu.89.4_73 |
文献番号 | 2019370434 |