シヨウダ モリオ   Shiyouda Morio
  庄田 守男
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   寄附部門教授
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 His電位記録領域に遅延伝導路を有するリエントリー性心室頻拍に対し遅延電位アブレーションにより治療しえた1例
掲載誌名 正式名:臨床心臓電気生理
略  称:臨心臓電気生理
ISSNコード:0285-1652
掲載区分国内
出版社 臨床心臓電気生理研究会
巻・号・頁 40,35-44頁
著者・共著者 柳下大悟†, 庄田守男, 逸見隆太, 岩波裕史, 江島浩一郎, 萩原誠久
発行年月 2017/05
概要 心サルコイドーシスの58歳、男性。除細動機能付き両心室ペースメーカ植込みを施行後、持続性心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)に対する適切作動を繰り返したためカテーテルアブレーションを施行した。右室単発期外刺激で左脚ブロック型上方軸のVTが誘発された。右心室基質マップを作成したところ、三尖弁輪のごく狭い範囲でのみ低電位領域が認められた。また、洞調律時において、His電位記録領域では遅延電位(late potential:LP)が記録された。同部位において、VT中はV波に先行するHis様電位(His like potential:HLP)と拡張期電位(mid diastolic potential:MDP)が記録され、MDP-HLP-Vパターンを呈した。VT中に右房からのエントレインメントペーシングを行ったところ、QRSは融合波形を呈しており作業心筋におけるリエントリー性VTと診断した。また、右心房からのエントレインメントペーシング中もMDP-HLP-Vパターンに変化はなく、HLPは常にMDPに捕捉されていた。HLPは心房ペーシングによって捕捉されないことから、His電位ではなく局所心室心筋のpre-systolic potentialと考えられた。MDP記録部位でのエントレインメントペーシングではMDPが捕捉され、concealed entrainmentおよびS-QRS=MDP-QRS、PPI=TCLの所見を得た。同部位での通電開始直後に頻拍は停止したが、房室ブロックを考慮し10秒で中止。洞調律中のLPの早期性を指標にHisから若干離れた弁輪部で2回目の通電を行ったところ、LPの更なる遅延とともに以後VTは誘発不能となった。LPに対して3回目の通電でLPは完全に消失した。His近傍のリエントリー性VTに対してVT中MDPと洞調律中LPのアブレーションで治療しえた稀有な症例を経験したのでここに報告する。
文献番号 2017265226