ホシノ タカオ   Hoshino Takao
  星野 岳郎
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 当科におけるダビガトランエテキシラートの使用実態
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:0040-9022
巻・号・頁 84(臨増1),E149-E154頁
著者・共著者 星野 岳郎, 石塚 健太郎, 長尾 毅彦, 内山 真一郎
担当区分 筆頭著者,責任著者
発行年月 2014/01
概要 [緒言]最近ワルファリンに代わる新たな経口抗凝固薬が開発され、心房細動に対する脳卒中予防治療は大きな転換期を迎えている。ダビガトランエテキシラート(以下ダビガトラン)は、直接トロンビン阻害作用を有する新規抗凝固薬である。本研究では当科におけるダビガトラン、ワルファリンの使用実態を調査した。[方法]2011年3月からの2年間に当科で非弁膜症性心房細動に対してダビガトランを処方した外来・入院患者80例(ダビガトラン群)、同様にワルファリンを新規に処方した46例(ワルファリン群)、合計126例を対象とした。両群の臨床背景や転帰を比較・検討した。さらに、虚血性脳卒中急性期に投与を開始した入院患者(ダビガトラン群18例、ワルファリン群34例)のみを対象とした解析を行った。[結果]ダビガトラン群ではワルファリン群に比べ慢性腎臓病(38.8% vs. 60.9%、P=0.016)、慢性心不全(6.3% vs. 19.6%、P=0.025)を有する割合が有意に低かった。観察期間中の脳卒中/全身性血栓塞栓症の発生率は、ダビガトラン群で2.05%/年、ワルファリン群で3.56%/年だった。出血性合併症は、すべての出血の発生率はダビガトラン群で11.3%/年、ワルファリン群で14.2%/年で、両群に大出血が1例ずつ発生したが、頭蓋内出血はなかった。消化管出血はダビガトラン群で7例に発生し(9.2%/年)、すべて下部消化管出血だった。急性期投与例のみの解析では、ダビガトラン群はワルファリン群よりも入院時NIHSSが低く(5.9 vs. 8.4、P=0.31)、急性期のヘパリン使用例(50.0% vs. 76.5%、P=0.055)、入院日数(22 vs. 33日、P=0.23)が少ない傾向があり、発症3ヵ月後のmRSが有意に低かった(1 vs. 2、P=0.035)。ダビガトラン群で急性期の脳梗塞再発が1例みられた。[結論]ダビガトラン処方例はワルファリン新規処方例に比して低リスク患者が多く、安全性に大きな問題はなかったが、軽度ながら下部消化管出血が多かった。急性期投与の有用性については、多数例でのさらなる検討が必要である。(著者抄録)
文献番号 O417380022