オガワ テツヤ   Ogawa Tetsuya
  小川 哲也
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   教授
論文種別 症例報告
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 MPO-ANCA 関連血管炎の臨床病理学的アプローチによる腎病態の検討
掲載誌名 正式名:日本腎臓学会誌
略  称:JJN
ISSNコード:03852385
巻・号・頁 50(7),927-933頁
著者・共著者 Mitsuyo Itabashi, Wako Yumura, Misao Tsukada, Satsuki Shirota, Takashi Takei, Tetsuya Ogawa, Takumi Yoshida, Keiko Uchida, Ken Tsuchiya, Kosaku Nitta,
発行年月 2008/07
概要 目 的:急速進行性の腎障害を有し,腎生検を施行した MPO-ANCA 関連血管炎の症例を対象とし,病理および
臨床所見,治療内容および予後について検討した。
方 法:血管炎としての活動病態を Birmingham Vasculitis Activity Score(BVAS)で評価した。腎生検所見は,糸球
体,間質および血管病変をスコアリングして評価した。腎予後は,1 年後に維持透析に至った群と,透析離脱例
も含めた腎機能保存群に分けて検討した。
結 果:平均年齢は 58.6±13.9 歳で,60 代が 44 %と最も多かった。血管炎の活動性は BVAS で平均 14.8±3.2 で
あった。CRP は腎限局型では 1.2±1.4,多臓器型では 12.6±10.5 と有意に腎限局型は低値であった(p=0.0079)。一
方,MPO-ANCA は腎限局型では 393±320EU,多臓器型では 355±280EU であり,両群の間に有意差はなかった
(p=0.793)。腎生検時の血清クレアチニン値は腎生存群では 3.57±2.31 mg/dL であり,透析移行群における
9.10±2.6 mg/dL に比し有意に低値であった(p=0.000259)。腎病理所見では,全糸球体における全節性硬化糸球
体率は,腎生存群が 24.7±19.9 %,透析移行群が 68.5±19.7 %と透析移行群は有意に高値であった(p=0.002)。
半月体形成率と腎予後には明らかな相関はなかった。初期治療 1 年後の時点で腎生存率は 67 %であった。
結 語:腎単独型に比し,多臓器型では有意に CRP が高かった。腎生検による全節性硬化糸球体の割合は腎予後
と強い相関を示し,腎生検時の血清クレアチニン値は腎予後に関係する因子であった。
PMID 19069151