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 消化器・一般外科
概要 当該年度の研究費受入状況 学会発表


助教:
   天野 久仁彦
   尾形 哲
■ 概要
消化器・一般外科
<外来診療実績>
外来診療実績は、一日平均で300名以上、年間で9万人が受診している。患者の多くは消化器がん患者、術後経過観察患者および良性消化器慢性疾患の患者である。癌患者の化学療法は、化学療法・緩和ケア科との共同で行うことも多く、外来化学療法室を利用している。炎症性腸疾患では消化器内科と連携して診療を行っている。
外来検査としては、上部・下部内視鏡検査、腹部超音波検査を施行している。
年間の検査数は各々上部内視鏡検査10726件、下部内視鏡検査5747件、ERCP625件、腹部超音波検査36193件であり、全国有数の数となっている。
その他、超音波内視鏡検査も外来にて定期的に行っている。CT、MRI検査などは放射線診断部にて行われ、迅速・的確な診断がなされている。

<入院診療実績>
年間入院数は約7万件で、ベッド稼働率は常時90%以上となっている。平均残院日数は17.4日(消化器病センター)で、平成23年度全身麻酔手術件数は1062件(RFAを含む)となっている。
手術件数として 食道癌45件、胃癌106件、大腸癌146件、肝癌135件、胆道癌 72件、膵癌61件でいずれも全国トップレベルである。術後管理、外来での経過観察も一貫して外科医が行っており、きめ細かいfollow upが可能である。この結果すべての癌でステージ別切除成績が全国平均を上舞っている。
胸腔鏡・腹腔鏡下手術に力を入れており、いずれも近年増加傾向にある。胸腔鏡下食道切除術の第一人者である大阪市立大学の大杉治司教授を客員教授として迎え、根治性を担保しながら呼吸機能障害の軽減に努めている。また、内視鏡下EMR, ESD、の件数(上部EMR29件、ESD94件、下部EMR766件、ESD8件)も全国有数となっている。肝癌治療では、メスを使わない治療も積極的に取り入れている。ラジオ波焼灼療法(RFA)、経カテーテル的肝動脈塞栓術(TAE)がん免疫療法(活性型Tリンパ球移入療法、樹状細胞療法)なども外科医が行っている。閉塞性黄疸に対する内視鏡的あるいは経皮的胆道ドレナージ術やステント留置術、胆管結石に対する内視鏡的乳頭切開術や切石術などの内視鏡治療も数多く安全に施行されている。

<その他(特徴、先進医療への取り組み、社会貢献等)>
『上部下部消化管』
あらゆるStageの消化管癌患者に対して治療できる体制をとっており、手術以外にも粘膜下層剥離術(ESD)をはじめとする内視鏡的治療から化学療法・化学放射線療法およびステントなどの緩和医療まで行っている。
臨床研究としては日本最大の多施設共同研究グループである日本臨床腫瘍グループ(JCOG)食道がんグループに所属しており、プロトコールに適応した場合は登録を行っている。化学療法はドセタキセル・シスプラチン・5-FU(DCF)療法を取り入れ、また最新の治療としてペプチドワクチンの治験が開始されている。基礎的研究として食道では、癌の微小転移や化学療法の感受性について研究し成果をあげている。再生医療として食道粘膜下層剥離術(ESD)後の粘膜欠損部への細胞シート付着術を臨床ですでに行っている。胃では、StageII/III胃癌術後補助化学療法におけるTS-1+LNT併用による投与継続性の検討、胃癌腹膜播種、腹腔洗浄細胞診陽性症例に対する腹腔内ドセタキセル投与+TS-1経口投与の併用療法の第2相試験、PCR法による腹腔洗浄細胞診の診断能向上と腹膜転移再発の予測診断の研究を行っている。大腸では、最大径20mm以上の大腸腫瘍に対する各種内視鏡切除手技の局所根治性・偶発症に関する多施設共同研究 StageⅢb大腸癌に対する術後補助化学療法としてUFT/Leucovorin+Oxaliplatin併用療法のFeasibility試験、大腸癌・同時性肝転移症例に対する術前、術後mFOLFOX6療法の有用法と安全性の検討 治癒切除不能大腸癌に対するUFT/LV併用癌ペプチドワクチン療法の第一相試験下部直腸癌に対する術前化学放射線療法を行っている。炎症性腸疾患では厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班で、先進的治療法の開発に携わっている。

『肝胆膵』
消化器内科の肝胆膵グループや病理医と連携しながら、すべての肝胆膵疾患の診断から治療までを取り扱っている。当科の前主任教授である高崎健先生が考案したグリソン鞘一括処理による系統的肝切除により、飛躍的に肝切除の成績は良好となった。また、2005年より小さな創での肝切除、腹腔鏡下肝切除を開始しており、肝切除の約10-15%に行っており、生体肝移植も30例以上の実績がある。肝胆膵手術では肝切除範囲、リンパ節郭清、血管合併切除、神経叢郭清などの根治性と膵および十二指腸、胃、胆管、脾などの膵周辺臓器の機能温存とのバランスを常に考慮して、胆管切除を伴う広範肝切除、血行再建を伴う膵頭十二指腸切除、尾側膵切除、膵全摘などの郭清手術から十二指腸温存膵頭切除、膵中央切除、脾温存尾側膵切除、十二指腸・胆道・脾温存膵全摘などの臓器温存手術まで多種多彩な手術を行っている。また、悪性腫瘍に対しては外科治療だけでなく、化学療法、化学放射線療法、免疫療法、緩和治療などを組み合わせて、根治性だけでなくQOLにも配慮した集学的治療を行っている。
臨床研究として広範肝切除を安全に施行するための残存肝予定肝からの胆汁を用いた肝機能評価法や、治癒切除率向上のためのMDCTを用いた癌の進展度診断法、肝切除に対するBCAA製剤を用いた術前術後の栄養療法、レシチン加リピオドールを用いたTAEのprospective study、ヒト肝臓からの肝細胞分離、ならびに同細胞を用いた基礎的研究、肝静脈合併肝切除後の残肝静脈環流領域の機能障害に関する検討、肝細胞癌に対するWDRPUHペプチドを用いたワクチン療法の第I相臨床試験、胆管癌に対するペプチドワクチン療法の第1相臨床試験、肝内胆管癌の高感度診断システムに開発、近年胆道癌に対して有効性が認められてきたgemcitabinやS-1といった抗癌剤を用いた術後の補助化学療法の有効性に関する多施設共同研究、膵がんに対する効果的な集学的治療法の開発(外科切除、化学療法、化学放射線療法、免疫療法をいかに効果的に組み合わせるかなど)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の手術適応や術式選択、臓器機能温存術式の意義など臨床に直結した研究を行っている。

消化器病センター
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■ 当該年度の研究費受入状況
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■ 当該年度研究業績数一覧表
学術雑誌 著書 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
筆 頭Corresponding
Author
共 著筆 頭Corresponding
Author
共 著 筆 頭共 著筆 頭共 著 演 者共 演演 者共 演 演 者共 演
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■ 学会発表
1. ◎伊藤俊一, 前田新介, 出雲 渉, 細田 桂: 進行胃癌に対するロボット支援下および腹腔鏡下胃切除術症例の短期成績.  第124回日本外科学会定期学術集会,  名古屋,  2024/04
2. ◎出雲 渉, 細田 桂, 伊藤俊一, 前田新介, 板橋道朗: 切除不能胃癌に対する一次治療としてのNivolumab併用化学療法の効果予測因子の検討.  第124回日本外科学会定期学術集会,  名古屋,  2024/04
3. ◎小川真平, 板橋道朗, 番場嘉子, 隈本 力, 金子由香, 腰野蔵人, 近藤宏佳, 前田 文, 谷 公孝, 山口茂樹: NLRおよびCRP/Albよる大腸癌予後層別化の検討.  第124回日本外科学会定期学術集会,  名古屋,  2024/04
4. ◎前田新介, 伊藤俊一, 細田 桂: 食道胃接合部癌の組織型による縦隔リンパ節転移・郭清効果の差違に関する検討.  第124回日本外科学会定期学術集会,  名古屋,  2024/04
5. ◎番場嘉子, 板橋道朗, 小川真平, 隈本 力, 金子由香, 腰野蔵人, 近藤宏佳, 谷 公孝, 前田 文, 亀岡信悟, 山本雅一, 山口茂樹: AI 認知機能によって得られた手術データからの手術の再現―大腸癌自動手術の開発に向けて―.  第124回日本外科学会定期学術集会,  名古屋,  2024/04
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 :筆頭者
◎:発表者