トミマツ ヒロフミ   TOMIMATSU HIROFUMI
  富松 宏文
   所属   その他 その他
   職種   非常勤嘱託
言語種別 日本語
発表タイトル 未手術で成人期を迎えた先天性心疾患患者の心エコー
会議名 日本超音波医学会第90回学術集会
主催者 日本超音波医学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎富松宏文
発表年月日 2017/05/27
開催地
(都市, 国名)
宇都宮市
概要 先天性心疾患(CHD)は生産児の約 7-8%に見られるといわれている.最近では CHD の多くは新生児期,乳児期の定期健康診断で発見され必要な治療を受けている.また,1954 年から学校心臓検診がはじめられ,現在は学校保健法により小学校,中学校,高校の各1年生全員に心電図検査が義務付けられており,この検診で新たにCHD が発見されることもある.しかし,大動脈二尖弁に代表されるように成人期になり始めて発見されるものもある.未手術のまま成人期に達した CHD には,①小児期に発見されながらその時点では血行動態的異常が軽微であり治療適応がないと判断されていたもの,②小児期にその外科治療のリスクの高さから手術適応とならなかったものも(いわゆる手術不能例),③成人期になって初めて発見されたものに大別される.特に①では社会人になるまでは,学校生活管理指導表の提出が必要なことから定期健診を続けていることが多いが,卒業や就職を契機に定期健診からドロップアウトし,何らかの症状が出現してから循環器科を受診するような場合もある.これに相当する CHD としては小欠損の心室中隔欠損症,軽度な大動脈弁狭窄症などがあげられる.②ではチアノーゼが存在したり,高度な心不全を有しているため継続的に医療を受けていることが多い.この群には単心室症,Eisenmenger 症候群などがあげられる.③では職場の健康診断や妊娠などを契機に心疾患の存在を指摘される.これに相当するものとしては心房中隔欠損症,エプスタイン病,修正大血管転位症,大動脈二尖弁などがあげられる.このように未手術で成人期を迎えたCHD は多岐にわたっているが,特に①と③の群が主に問題となる.①と③の群では,その時点では無症状であっても,病状の進行にともない治療介入が必要となる場合がある.そのためには正確な診断と血行動態の把握をするとともにその疾患の自然歴を十分に知っておき,治療介入の時期を失しないようにすることが重要である.本セッションではこれら未手術の成人先天性心疾患患者の心エコー所見について概説し,成人先天性心疾患診療の一助としたい.