ヤマザキ ケンジ   KENJI YAMAZAKI
  山崎 健二
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
言語種別 日本語
発表タイトル 弁尖を切除しないFolding Mitral Valve Repairによる157症例の中期成績の検討
会議名 第47回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎津久井宏行, 早川 真人, 岩朝 静子, 齋藤 聡, 山崎 健二
発表年月日 2017/03/01
開催地
(都市, 国名)
東京都
概要 *会長要望演題18/弁⑤MVP
【目的】Folding Mitral Valve Repair (FMVR)は、弁尖逸脱を伴った僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対して、弁尖を切除せず、左室側に折り畳むことで逆流を制御する術式である。やり直しが可能であることから、より繊細な修復が可能と考えられているが、その遠隔成績については未だ明らかではない。本研究では、FMVRの有用性について検討した。【方法】2009年5月より2015年12月までにFMVRを施行した157例(男性94例、平均年齢62.0才)を対象とした。術前心エコーによるMRはsevereが96例(61%)、moderateが56例(36%)であった。Barlow症候群11例(7%)、感染性心内膜炎10例(6%)が含まれていた。【結果】病院死亡は無かった。FMVRは、後尖98例(62%)、前尖18例(12%)、両尖15例(10%)、その他26例(16%)に対して施行された。人工腱索を15例(前尖8例、後尖5例、両尖2例)に使用した。同時手術は、三尖弁形成術71例(45%)、不整脈手術43例(27%)、冠動脈バイパス術12例(8%)、大動脈弁置換術7例(5%)であった。42例(27%)は、指導医の下、修練医が施行した。平均体外循環時間、大動脈遮断時間は、それぞれ、154.2分、99.6分であった。体外循環離脱時に2例にSAMを認めたが、強心剤の中止と容量負荷により改善し、再手術は必要としなかった。退院時心エコーによるMRは、none-trivialが113例(75%)、mildが38例(24%)、moderateが1例(1%)であった。経過観察中、非心臓死が2名(脳梗塞、肝細胞癌)であった。術後平均観察期間は、41.1ヶ月(4-78)おける心エコーでは、none-trivialが71例(45%)、mildが77例(49%)、moderateが9例(6%)であった。Moderate 9例には、前尖病変5例、リング不使用例2例、人工腱索使用例2例が含まれた。MR再発に対して、再手術を行った症例はなかった。【考察】FMVRの中期成績は、許容されるものであり、修練医の教育も可能とする術式と考えられた。しかしながら、前尖逸脱症例、リング非使用症例では、術後MRの増加傾向が認められた。人工腱索の使用にあたっては、より繊細な手術手技が必要と考えられた。