アラシキ ノブト   ARASHIKI Nobuto
  新敷 信人
   所属   医学部 医学科
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 脂質過酸化によるメトヘモグロビンとの結合親和性の増加は赤血球膜タンパク質Band 3のカルボニル化に起因する
会議名 日本生化学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者新敷信人, 萬野純恵, 高桑雄一
発表年月日 2012/12/14
開催地
(都市, 国名)
福岡県
概要 【背景と目的】赤血球は120日で寿命を迎え、脾臓のマクロファージで除去される。この際、赤血球膜タンパク質バンド3 (Band 3) のクラスター化が引き金となるが、その過程について、昨年の本会で、脂質過酸化によって赤血球膜上のBand 3へのMetHbの結合が強まりBand 3を架橋すると同時に、アンキリンとの結合が弱まりBand 3の可動性が増加することがBand 3のクラスター化を促進する要因となっていることを示した。本研究では、脂質過酸化によりBand 3の細胞質ドメインがカルボニル化されることでこれらの分子間相互作用に影響を与えているとの仮説を検証した。
【方法と結果】まず、赤血球膜ゴーストに対する脂質過酸化剤 (tert-Butyl hydroperoxide)処理によってタンパク質に生じうる種々の修飾を、それぞれの特異的抗体を用いてBand 3について検討したところ、カルボニル化のみが認められた。さらに、この膜ゴーストを-Chymotrypsin処理することにより、カルボニル化はBand 3の細胞質ドメインにも起っていることが示された。次にBand 3の細胞質ドメインを脂質過酸化処理した、またはしない膜から精製し、Lysyl endopeptidase消化断片をHPLCを用いて分離回収し、同様にカルボニル化した断片を検出した。また、これらとMetHbとの結合をQCMで測定したところ、カルボニル化を受けたペプチド断片のみに結合するものが同定された。
【考察】脂質過酸化によって、Band 3の細胞質ドメインにカルボニル化が生じており、その部位をペプチド断片として同定した。また、MetHbとの結合がカルボニル化によって変化する断片が存在しており、カルボニル化が直接、分子間相互作用に影響を与えていることが推察された。