ババゾノ テツヤ   Babazono Tetsuya
  馬場園 哲也
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームあるいは肥満と腎症進展との関連に関する前向き観察研究
掲載誌名 正式名:東京女子医科大学雑誌
ISSNコード:0040-9022
巻・号・頁 81(臨増),E197-E205頁
著者・共著者 木内由香, 馬場園哲也, 花井豪, 岩本安彦
発行年月 2011/03
概要 近年メタボリックシンドロームあるいは肥満と慢性腎臓病との関連が注目されている.本研究は、2型糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームと腎症の発症および進展との関連を明らかにすることを目的とし、前向きの観察研究を行った.1999年に東京女子医科大学糖尿病センターを初診した成人2型糖尿病患者のうち、腎症病期が正常あるいは微量アルブミン尿期であった375名、女性133名、男性242名、年齢55±12歳(20-80歳)を対象とした.腎症病期は正常アルブミン尿307名、微量アルブミン尿68名であった.観察開始時における、日本内科学会の基準によるメタボリックシンドロームの有無により、合併161名および非合併214名に分類、正常アルブミン尿から微量アルブミン尿、または微量アルブミン尿から顕性蛋白尿への進展をエンドポイントとした.メタボリックシンドローム合併例および非合併例の平均観察期間はそれぞれ5.8±3.8年(0.02-11.4年)、6.0±3.9年(0.25-11.4年)であり、それぞれ28名(17.4%)、25名(11.7%)で腎症が進展した.腎症進展率は合併例2.9/100患者・年、非合併例2.0/100患者・年であった.Kaplan-Meier法による累積腎症進展率は合併例で高い傾向であったが、log-rank testでは有意な差に至らなかった(p=0.170).男女別および観察開始時の腎症病期別の腎症進展率をメタボリックシンドロームの有無によって比較したが、有意差はなかった.Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析においても、メタボリックシンドロームの合併は、腎症進展に対する有意な予測因子ではなかった.以上の結果より、2型糖尿病患者におけるメタボリックシンドロームの合併は、糖尿病性腎症の進展、すなわちアルブミン尿の増加に対する危険因子である可能性は少ないと考えられた.(著者抄録)
文献番号 2011211760